-
―ジワジワとした暑さにより、ほとんどの刀剣達がバテてしまう夏真っ盛り。
短刀達が本丸の庭に大きめのビニールプールを広げて水遊びをしていた。
といっても足首が浸かる程度の物であるが、粟田口を始めとする見目の幼い刀剣達は、
水鉄砲を片手に楽しそうに笑っているのを、審神者の『彩音』は内番を終えた三日月宗近と縁側に座って眺めていた。
「短刀ちゃん達楽しそうですね。」と冷たい麦茶で喉を潤す主に「はっはっは。主も混ざって来てはどうだ。」と笑う三日月に彩音は頬を膨らませた。
「もう!私はもう18だよ!」子供じゃないんだから!と零す主に、
自分から見ればまだまだ童であるのだが…とは思うがこの主がまた拗ねてしまいかねないので心の中に留める。
水遊びをしてはしゃいでいる短刀達も三日月ほどではないが、彩音よりずっと年上だ。
「ああ、主ここにいたんだね。」と声を掛けてきたのは、燭台切光忠だ。
彼もこの暑さには参ったのか、内番服の上は黒Tシャツ1枚で、いつもより鍛えられた体の線が出ており、彩音はドキッとした。
「光忠?どうしたの?」と彩音が光忠に問うと、光忠は「ああ、この暑さだからカキ氷でも作ろうかなって思って。
ここってカキ氷機とかってある?」という光忠に彩音は目を輝かせた。
毎年夏はカキ氷を食べていた彩音は、今年は食べられないだろうと諦めかけていた為、とても喜んだ。
「フフッ、そんなに喜んでくれるのは嬉しいよ。じゃあ、ちょっと厨の方へ来てくれない?」と笑う光忠に続いて彩音はスキップするように厨に向かった。
「はっはっは、若き事はよきかな。」と2人の後ろ姿を1人残された三日月が見送った。
光忠と彩音が厨に到着すると、作業台の上にはカキ氷に使うシロップが複数置いてあった。
「じゃあ、僕はカキ氷機探してくるね。」と光忠は戸棚の方の向かった。
光忠が戻って来るまでの間、彩音はシロップを眺める事にした。太陽の光を受けて、
赤や黄、緑、青と宝石のようにキラキラと輝いている。暫く眺めていると、「お待たせ、主。」
とカキ氷機と大きめの氷が入った桶を持った光忠が後ろに立っていた。
「主はお盆にシロップ乗せて来てね。」と光忠が示す方にあったお盆に取って、シロップの瓶を置いて光忠と共に縁側に向かって歩き出した。
「主は何味が好き?」と尋ねる光忠に答えようと彼の方を向くと、彼越しに見えた空に鮮やかな雲を見た。
「わあ!光忠、綺麗な雲があるよ!」とはしゃぐ彼女の声に顔を空に向けると、シロップと同じ色の雲が浮かんでいた。
「本当だ、綺麗だね。」と子供のようにはしゃぐ彩音に微笑んだ。
待ちきれなかった短刀達が駆け寄ってくるまで、2人はずっと空を見上げていた。
見上げて映った彩雲
2016/07/11